二度だけガッカリさせられた「けいおん!」

 以前書いたが、僕は原作の四コマ漫画版「けいおん!」に良い印象を持っていない。
 なので「マイナス」の位置から見始めたのだけれど、ガールズバンドを軸としたストーリー物風に、素晴らしく再構成されていた。
 このような原作改変は、アリだと思う。
 原作のママだと、少々バンドの面がないがしろになっているため、1クールの作品として芯が通らなかっただろう。
 
 「初恋限定。」の項でも書いたが、この手の作品は、女性が監督で女性が脚本を書くと、男の知らない女の子の空気感をうまく表せるのだと思う。
 それも、「けいおん!」で再確認できた点だ。
 
 ガッカリしたのは、二度あった学園祭での演奏回で、両方とも演出が失速したこと。
 知らずともいいと思うので名を秘すが、京アニの大御所気取り(なのだろう、きっと)の人が演出を担当し、ほかの回で構築してきたアニメ版「けいおん!」の空気感を台無しにしているのだ。
 女の子のことなど知らぬオジがしゃしゃり出てきても、役に立たない好例だ。
 
 本作は、京アニ山田尚子と言う新しい芽あり、と見せたことも意義がある。
 上記の通り鼻についたところもあったが、京都アニメーションが前面に出てくるようになって以降最高と言える出来映えであり、ブームを起こしたことに納得する作品だと思う。