「獣の奏者エリン」

 上橋菜穂子原作でNHKProduction I.G制作は、かつてBS2で放送された「精霊の守り人」と同じ組み合わせだ。
 「精霊の守り人」はBS2の衛星アニメ劇場枠だったからかも知れぬが、Production I.Gらしい理屈っぽさが鼻につき、ファンタジー物として今一歩の完成度との感想を持った。
 
 「獣の奏者エリン」は、NHK教育テレビの土曜夕方枠と言うことでターゲット年齢を下げたためか、かつての失敗(で、いいよね?)を教訓に、原作を丹念に、年少のエリンの視点に沿った形で、難しいところは解きほぐし,或いは省略することにより、完成度が高い作品となった。
 
 作品全体のエピソードのバランスが上手くとられており、Production I.GとしてはCGへの依存も控えめにしたことで、ファンタジー物らしさを前面に打ち出すことに成功している。
 音楽もストーリーの中心となる竪琴をベースとして、世界観が一貫していた。
 大人の見かたになるけれど、ここはProduction I.Gらしく他のアニメ作品に良く出演している声優で配役を決めなかった点が、ファンタジーらしさをより強く押し出す効果となっていたとも思う。
 
 難点は探しにくいが、途中でED曲を松たか子の変なのにしたのは失敗か。
 OP曲の歌い手の変更は、演出上「ここぞ」という時にスキマスイッチ版「雫」を使うためだったと思えば、納得で来るけれども。
 
 昨年の五指に入る作品であることは、疑いようがない。
 
 「NHK制作」のクレジットを入れてくる作品の底力を、改めて知った次第。