結果オーライ、逆に素晴らしい「うしおととら」

 藤田和日郎による、平成初期の長編名作漫画をアニメーション化。
 夜七時帯で民放各局がこども向けにアニメーションを放送していた時期なら兎も角、これを旧U局深夜帯の枠組み時点で放送する時点で、原作の全てを汲み取り映像化するのはムリな相談。
 藤田氏が語っていた通り、人気エピソードでも「泣いて馬謖を斬る」思いで削ったのだと拝察、つまり、そこへの批判は、的外れなのであった。
 
 作画というか画の調子が、原作の世界観にマッチしている。
 また、声優陣も藤原啓治サンの独特の言い回しは気になったが(笑)、概ね合っていて、第一作となる本作の終盤では、彼ら以外にあり得ないとさえ思えたくらいだ。
 原作が長引いた分、読み解ききれなかった箇所もわかりやすく構成されており、決して「今さら見るものでもない」と割り切っていいものではない。
 
 往事の名作を、このような形で残せるプロジェクトとして踏み切った英断、大変素晴らしいと思う次第。