奇を衒ってはいない、新房昭之×シャフト

 新房監督×シャフトは、兎角エキセントリックな映像表現,過去の映像作品のパロディ(セルフパロディも含む)に注目が行きがちで、そこが毎度賛否両論の元となっている。
 だが僕は、前回触れた佐藤順一「ARIA」シリーズでは自ら音響監督もしている)と同じく、実はこのユニットのキモは、音の使い方の上手さにあると思うのだ。
 「ぱにぽにだっしゅ!」はグループサウンドを思わせるポップな音を、「さよなら絶望先生」は大正を連想させる古風な音を使っている。
 「さよなら絶望先生」は更に徹底していて、一部を除き女性声優陣は低いトーンで声を当てさせることで、「絶望的な」雰囲気を引き立たせている。
 「まりあ†ほりっく」では一転してEDにYMOのカバーを使っていることなどから、これらは作風の変化ではなく、作品に合わせ確信的に使い分ける正攻法な手法であると合点がいく。
 
 つまり、音の使い分けが、新房作品の真骨頂。
 過去のインタビューで、新房自身「自分がやるよりスタッフに丸投げした方が、面白いものが帰ってくる」と述べているので、以上の部分は、音響監督の亀山俊樹に負う部分が大きいのかも知れない、
 が、新房×亀山×シャフトの組み合わせはほぼ一体。
 新房昭之×シャフトは、原作に合わせ変幻自在に演出をしているのだ、言うところで、今日は締めておきたい。
 
 実は、次回が本論。