「涼宮ハルヒの消失」

 観客の半数以上は間違いなく原作を読了していると思われる上、原作は現時点で「涼宮ハルヒ」シリーズ一番のデキと言われてたりもするので、脚本,演出の落としどころを決める難しさは相当あったと推察する。
 160分と今時の映画としてはかなりの長編になったが、オチがわかっていつつも、スクリーンへの集中を途切れさせることなく見終ることができた。
 全体として高いレベルの水準、見に行ける環境にいるならばオススメ。
 CGの使い方など何点か不満はあるが、それらは京都アニメーション系スタッフが共通して抱える問題点なので、それは略。
 音質も素晴らしかった。
 一部の声優を除き、綺麗に音が抜けていく印象。
 杉田智和ファンには、たまらんだろうぜよw
 詳細な検証は他所様におまかせして、演出面で以下ネタバレ改行。

 

 

 

 

 

 おーけー?

 

 アニメ化されるまでの原作「涼宮ハルヒ」シリーズでは、キョン長門への依存(好意とも言える)がもの凄い勢いで進行していた*1
 で、キョン長門の一挙手一投足を語っているのだが、映画ではこれを丸ごと削除、映像で表現している。
 微妙な表情,仕草など、スクリーンでも原作通り数ミリの動きだ。
 これらは、映画であって可能だった手段だと思う。
 キョンにも語られないことで、長門有希が孤独な存在であることを印象づけ、「涼宮ハルヒ」シリーズの中での立ち位置をハッキリさせている。
 谷川流が脚本協力しているのだから、この切ない設定が公式なのだろう‥。
 それは、ちょっと長門に気の毒ではないか?と思ったりするのだけれど。

*1:と言っても、それ以降「涼宮ハルヒの分裂」一巻しか出ていないのだけれど、それはまた別のお話。