紛う事なき佳作「さらい屋五葉」(良い意味で)

 昨年放映された「リストランテ・パラディーゾ」がキッカケで、少々オノ・ナツメの漫画に目を通したんだが、悪い意味でなく、この作者は男性を愛してやまないのだと思う。
 方向性は違うけれど、男性誌にも描く括りでは東村アキコなんかもそうなんだが、この世代、いい男もダメ男も平等に好感をもって表現する傾向にある。
 
 で、アニメーション版「さらい屋五葉」。
 メインとなる男性陣、皆、弱い点を持っている。
 彼らに対し、思い入れがありつつ極力フラットに描いてるのだが、その微妙な加減を何事もないようにサラッと打ち出している。
 オノ・ナツメ作品の特徴のふたつめに、女性は必要以上に出張らない点があるのだが、こちらもそのまま。
 キャストの方々の抑制された演技が効いていた。
 時代劇らしくない音楽の使用は「必殺仕事人」シリーズで採用されたもので目新しくはないけれど、一度耳にすれば「さらい屋五葉」とわかり且つ作品の印象を高める、効果的なもの。
 アニプレックスらしく、タイアップによりOPとEDの曲が作品全体と内容を異にしていた点だけが、残念だ。
 
 望月智充監督・脚本は「ポルフィの長い旅」以来と思うが、相変わらずいい作品を作られますなぁ。