ロックが再び夕闇に佇むことはない「ブラック・ラグーン」9巻
三年(単行本で三巻と半分)を費やした、El Baile de la muerte編完結。
手に取った時点で、9巻は過去のブラクラのどれよりも厚いことを実感。
El Baile de la muerte編をこの巻で終える!、強い意志が感じられた。
単行本化に当たり、大幅な加筆修正があったらしいが、詳細は知らない。
以下ネタバレにつき改行。
おーけー?
派手なガンアクションがある上、「双子編」のような不条理、「日本編」のような後味の悪さはないのだが、このEl Baile de la muerte編、エピローグで張大可に言わせた通り、過去のブラック・ラグーンのどのエピソードより重い。
だが、この巻の中盤から、話は一気に走り出す。
ラプラス家の新たな若き当主は、殺戮メイドを連れ戻すこつに成功し、まぁ、アメリカさんも最低限の犠牲者で、「結果的に」済んだ。
元々、エピソードの発端の経緯から、ロックの視点で始まった物語だが、第三者視点へ移動し、この巻終盤ではファビオラの目線で、物語を語っている。
ファビオラ曰く、ロックは「他人の命をベットするくそ野郎」になった。
この長編は、この一点に集約できると思う。
そのために、視点の移動は必要だったのだ。
ロックが、「あちら側」の人間の絵で描かれることも。
「最後の最後で、大騒動の一番面白い出来事を――俺たちだけが楽しめるんだぜ、ダッチ」